こんにちは！波田須です。ＪＲの日本往来切符で旧東海道(金谷宿〜掛川
  宿)を歩きました。一読いただければ幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2001. 5.15
           「小夜の中山」ハイキング
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーS.Hadasu
 
      日時  ：2001年 4月 22日(日)  晴れ  夫婦で歩く  

    今日は日本往来３回目の旧東海道歩き。豊橋駅で新幹線３割引の往来切符
  を購入。静岡駅まで新幹線、東海道本線で金谷駅まで戻る。お勧めコースの
  出発は島田駅からとなっているが、島田宿の見所「大井川川越遺跡」は以前
  に訪ねているので金谷駅からスタート。10:20

    駅前から線路下をくぐり、長光寺前に出ると金谷坂にさしかかる。国道を
  横切ると長さ 430mの石畳の急坂が始まる。平成３年に復元された石畳は苔
  むし旧道らしさが出ている。坂を登りきると牧の原台地、一面に広がる茶園
  は明治維新で失職した幕臣(旗本)や川越人足の手で開墾された由。

    のどかな台地上の道を行くと右手の森に武田氏が築いた山城「諏訪原城跡｣
  (国史跡)がある。順路の標識に従い遺構を巡ると意外に広い。守護神・諏訪
  明神が祭られ、深い堀が良く残っている。

    石畳の菊川坂を下る。700m 続く石畳は今年１月完成の新品。畳は新しい
  が良いに決まりだが石畳は別。色白の丸石を並べた坂道は初々しいが旧街道
  の風情なし。しかし車の通らぬ遊歩道は大歓迎。町民あげての道普請に敬意
  を表したい。

    坂下の小さな集落が菊川宿(間の宿)のあった所。「菊川の里会館・さんぽ
  茶屋」で昼食。茶屋前には藤原宗行の詩碑と日野俊基の歌碑が立つ。前者は
  承久の乱(1221)で、後者は正中の変(1324)で捕らわれ、鎌倉へ送られる途中
  この地で詠んだと記してある。古来よりこの街道が東西を結ぶ重要な幹線で
  あった事が分かる。

    村外れで左に折れ、難所「小夜の中山峠」へ「やおき坂」を登る。山の緩
  斜面には茶畑が広がる。すくすく伸びた黄緑の若芽が美しい。茶畑の新緑に
  見とれカメラを向け小休止。

    坂を登ると平坦な台地上の道となる。久遠(きゅうえん)寺参拝。江戸時代
  から続く峠の茶屋「扇屋」で名物「子育て飴」(１本100円)を食べると歯に
  へばりつき不愉快。しかし目の前に「噛まずに舌の上で溶かして食べよ」と
  張り紙があり納得。昔ながらの味はハーブのきいたのど飴の如し。

    この地は古くから歌集、句集、紀行文に取り上げられ親しまれてきた。
  「小夜の中山」を詠み込んだ和歌は勅撰集だけでも六十余首とか。茶屋前に
  は西行法師の大きな歌碑が立つ。

       『年たけてまた越ゆべしとおもひきや命なりけりさやの中山』

    新芽の鮮やかな茶畑の中の道が続く。吹き抜ける風は心地良く気分爽快。
  相棒の足取りも軽やかで我らの旅は「命なりけり」。袋一杯のワラビを得た
  山菜取りの家族も楽しげに「命なりけり」。炎暑にこの峠を旅した芭蕉は
  『命なりわづかの笠の下涼み』。涼み松跡に句碑が立つ。

    有名な悲哀伝説の夜泣き石跡には広重の絵碑が立つ。絵には石が一つ街道
  の真ん中にでんと描かれている。しかし今残る夜泣き石は二つ(久遠寺境内と
  国道沿いの土産物屋の脇)本物はどちらだろうか？茶畑と別れ急坂を下り、国
  道を横断し日坂宿に入る。

    修理され記念館となった脇本陣格の旅篭「川坂屋」と営業中の「池田屋」
  に宿場の面影が残る。建て替えられた家も古い屋号を記した看板を掛けて
  いる。川坂屋を見学。歩道橋で国道を渡ると枕草子に「願いごとのままに
  かなう社」として登場した事任(ことのまま)八幡宮がある。これ幸いと少々
  欲張りな願をかけ参拝。

    八幡宮から掛川城までは開館時間に間に合わせるためタクシーを利用。
  御殿(重文)で江戸時代の藩政治や大名の生活を忍び、復元された木造天守閣
  (平成６年)に上る。掛川駅まで歩いてゴール 17:00。７km程のウォークだが
  ２度のアップダウンで運動量は十分。八十八夜まであと十日、今が旬の茶畑
  に魅せられた。   
                                                      完